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『アメリカン・イディオット』(''American Idiot'')は台詞は全て歌で構成される一幕物のミュージカル。パンク・ロック・バンドのグリーン・デイのロック・オペラ・アルバム『アメリカン・イディオット』の舞台化。2009年、バークレー・レパートリー・シアターでの上演後、ブロードウェイのセント・ジェイムス劇場にて2010年3月24日、プレビュー公演が開始され、2010年4月20日、正式に公開され、422公演上演後2011年4月24日に閉幕。基本的にグリーン・デイのメンバーは出演しないが、ヴォーカル兼ギタリストのビリー・ジョー・アームストロングがセント・ジミー役で時々出演していた。 コンセプト・アルバム『アメリカン・イディオット』から展開されたストーリーは、不満を抱く若者のジョニー、ウィル、タニーの3人に焦点を合わせる。ジョニーとタニーは抑圧された郊外の生活や親の干渉から逃げ、一方ウィルは妊娠しているガールフレンドとの関係がうまくいくように街に残ることとなった。ジョニーとタニーは人生の意味を探し、自由や都会の興奮を求めていた。タニーはすぐに都会での生活を諦め、軍に入り戦地に向かう。ジョニーは反発心を持ち、人間関係を築き、失恋を経験する。 脚本はアームストロングと演出のマイケル・メイヤーが担当。音楽はグリーン・デイの作曲でアームストロングの作詞による。曲はアルバム『アメリカン・イディオット』の他、アルバム『21世紀のブレイクダウン』の収録曲、「アメリカン・イディオット」のB面、「When It's Time」などが追加された。 評価は賛否両論であった。音楽や作品のエネルギーは評価されたが、感情の深さに欠けると批判された。2010年トニー賞でクリスティン・ジョーンズがミュージカル装置デザイン賞、ケヴィン・アダムスがミュージカル照明デザイン賞を受賞し、ミュージカル作品賞にノミネートされた。2011年2月13日、グラミー賞の最優秀ミュージカル・ショー・アルバム賞を受賞。 == あらすじ == 現代のアメリカ、ジングルタウン。郊外の若者達はあまり幸せそうではなく、テレビをただだらだらと見ているだけ。一般教書演説にうんざりし、欲求不満を爆発させる(『アメリカン・イディオット』)。そのうちの1人、ジョニーは友人ウィルを哀れむ(『ジーザス・オブ・サバービア』)。別の友人タニーは2人のパーティに合流し、ビールがなくなり地元のセブン-イレブンでもっとビールを買ってくるよう指示。タニーは人生で何もすることがないし、どこにも行くところがないと言う(『''City of the Damned'' 』)。彼らはいらいらし、ジョニーは友人に婚約をけしかける(『''I Don't Care'' 』)。ウィルのガールフレンドのヘザーがやって来る。彼女は妊娠しているが、どうしたらいいのかわからない(『''Dearly Beloved'' 』)。ジョニーは田舎から抜け出したく、借金をし都会行きの3人分のバス乗車券を購入。出発直前、ヘザーはウィルに妊娠を告げる。彼はとどまるしかなかった(『''Tales of Another Broken Home'' 』)。ジョニーとタニーは他の疲弊した若者達と共に都会へ向かう(『ホリデイ』)。 ジョニーは都会の街をぶらつき、アパートの窓に見た女性に恋をする(『ブールヴァード・オブ・ブロークン・ドリームス』)。タニーは都会に馴染めず、テレビで見た軍隊のコマーシャルに興味を示す(『''Favorite Son'' 』)。タニーは自分達の世代は都会の輝く光りでさえも感覚に麻痺し、何事にも無感動であると認識していた(『''Are We the Waiting'' 』)。そして彼は軍隊に入隊。 欲求不満のジョニーは反抗的な薬物の売人のセント・ジミーと出会い、初めてヘロインを打つ(『''St. Jimmy'' 』)。ジングルタウンではウィルはガールフレンドのお腹が大きくなっていくのにただカウチに座ってビールを飲み、解放されることを願った。一方タニーは紛争地帯に配属され、すぐに撃たれて負傷する(『''Give Me Novacaine'' 』)。 ジョニーはアパートの窓に見たワッツァーネイムと呼ぶ女性と一夜を共にした。彼は彼女に心を奪われ一緒になりたかったが、セント・ジミーは他のプランを提供する(『ラスト・オブ・ジ・アメリカン・ガールズ』/『''She's a Rebel'' 』)。ジョニーとワッツァーネイムはクラブへ行き、一緒に薬物を打ち情熱的な夜を過ごす。この頃、ウィルとヘザーの娘が生まれようとしており、ヘザーが娘の将来を楽しみにする一方ウィルは次第に無関心になっていく(『''Last Night on Earth'' 』)。 ヘザーはウィルがマリファナと酒に溺れ無気力になっていることにうんざりしていた。ウィルの反対に関わらず彼女は子供を生み、出て行った(『''Too Much, Too Soon'' 』)。同時期、陸軍病院に入院していたタニーは絶望し(『''Before the Lobotomy'' 』)、戦争中の幻覚を見るようになっていた。彼はこの病院の看護士はバレエのようなダンスを踊る(『''Extraordinary Girl'' 』)。彼はすぐに彼女に恋に落ちた。彼の幻覚は消え、同僚と共に退院する(『''Before the Lobotomy'' 』リプライズ)。 ジョニーはワッツァーネイムが寝ている間、彼女への愛の深さを表現する(『''When It's Time'' 』)。薬物への誘惑にかられる。ジミーはジョニーに対し異常に強要するようになり、最終的にワッツァーネイムをナイフで脅迫する(『ノウ・ユア・エナミー』)。ワッツァーネイムはジョニーの行動について話そうとする時、エクストラオーディナリー・ガールはタニーの傷に包帯を巻き、ウィルは一人でカウチに座っていた(『21ガンズ』)。ジョニーはワッツァーネイムに、彼女よりもジミーと薬を選ぶと書き残した。ワッツァーネイムは怖いと同時に呆れ、ジョニーに対し彼は『''Jesus of Suburbia'' 』ではなく、セント・ジミーは父親の情熱と母親の愛の創造物でしかないと言う(『''Letterbomb'' 』)。彼女は彼のもとを去る。 ワッツァーネイムが去ったことで傷ついたジョニーは良い日が来ることを待ち望み、タニーは家が恋しくなり、ウィルは失った物全てを後悔していた(『ウェイク・ミー・アップ・ホウェン・セプテンバー・エンズ』)。セント・ジミーはジョニーに最後の誘惑をかけるが、セント・ジミーの隠喩的自殺により、ジョニーのジミーへの忠誠心はなくなった(『''The Death of St. Jimmy'' 』)。ジョニーは立ち直りデスク・ワークの職を得るが、すぐに都会暮らしが性に合わないことに気付く(『''East 12th Street'' 』)。テレビを眺めている孤独なウィルは自分は落伍者だと嘆く(『''Nobody Likes You'' 』)。彼は最終的にカウチを離れると、ヘザーが新しいボーイフレンドのロックスターと現れる(『''Rock and Roll Girlfriend'' 』)。ウィルは彼らから逃げるようにセブン-イレブンに行き、驚いたことにそこでジョニーを見つける。ジョニーは帰宅のバス乗車券を買うために自分のギターを売った。タニーは戦地からエクストラオーディナリー・ガールと共に戻ってきた。タニーは友人達をエクストラオーディナリー・ガールに紹介し、ジョニーは彼がグループを抜けることに激怒したが、すぐに彼を許し抱擁した。ヘザーとボーイフレンドがやって来て、ウィルに赤ん坊を抱かせた。1年間会っていなかった他の友人達が3人に挨拶するため集まってきた(『''We're Coming Home Again'' 』)。1年後、ジョニーは愛のない人生を嘆くが、彼の人生を定義する情熱と愛の間でもがくことを受け入れる。これにより生きる希望を見出していく(『''Whatsername'' 』)。 カーテンコールの際、出演者はギターを持ち演奏する(『グッド・リダンス (タイム・オブ・ユア・ライフ)』)。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「アメリカン・イディオット (ミュージカル)」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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